【非公開株式を全て取得】夫の子らと株式で対立していたが合意が得られた事例
ご相談の概要
- ご相談者 :被相続人(亡くなった方)の妻
- 相手方 :被相続人の子
- 遺産の種類:非公開株式、預貯金
- 論点 :非公開株式の評価、遺産分割協議
ご相談の背景
ご主人は会社の経営者でしたが、遺言書を遺さずに亡くなられました。ご依頼者様である奥様が、ご主人の跡を継いで会社の経営を引き継いでいましたが、遺産には会社の全株式(非公開)が含まれていました。
相続人であるご主人の子らも、当然この株式を相続する権利があります。しかし、もし株式が複数の相続人に分散してしまえば、会社の経営権が不安定になり、事業の継続に支障をきたす恐れがありました。会社の経営を守りたいご依頼者様と、ご自身の相続分を主張する子らとの間で、株式の評価額などを巡り、話し合いが難航していました。
弁護士の対応
ご依頼者様の「会社の経営権を確立するため、株式をすべて相続したい」という強いご希望を受け、相手方(子ら)の代理人弁護士との間で交渉を開始しました。
交渉の最大の争点は、客観的な市場価格のない「非公開株式」の評価額でした。弁護士は、過去の裁判例における評価方式の傾向などを詳細に分析・主張しました。さらに、第三者の評価機関による客観的な評価も活用することで、法的な根拠に基づいた妥当な株式価値を提示し、粘り強く交渉を続けました。
結果
弁護士による法と証拠に基づいた交渉の結果、相手方との間で株式評価額について合意に至りました。
最終的に、ご依頼者様が**会社の非公開株式をすべて取得**し、その代償として、他の遺産である預貯金の中から相手方に適切な代償金を支払う、という内容で**円満に遺産分割協議が成立**しました。
これにより、ご依頼者様は会社の経営権を完全に確保し、今後の事業運営に安心して専念できる状況となりました。
弁護士からのワンポイントアドバイス
経営者の方にとって、ご自身が育てた会社の株式は非常に重要な財産です。しかし、遺言がない場合、株式が複数の相続人に分散してしまい、会社の経営権が不安定になるリスクがあります。非公開株式の価値の算定は非常に複雑で、争いの火種になりがちです。
弁護士にご相談いただければ、過去の裁判例なども踏まえた評価に基づき、会社の未来を見据えた交渉が可能です。経営者の方は、お元気なうちに遺言書を作成しておくことを強くお勧めします。
