【円満な相続放棄】次順位の相続人にも配慮し、負債の承継を回避した事例
ご相談の概要
- ご相談者 :被相続人(亡くなった方)の妻
- 相手方 :他の相続人(被相続人の子、兄弟姉妹、甥姪)
- 遺産の種類:不動産(住宅ローン付き)/預貯金/負債
- 論点 :次順位相続人への影響を考慮した相続放棄
ご相談の背景
ご依頼者様は、亡くなったご主人名義のご自宅にお住まいでしたが、その不動産にはまだ多額の住宅ローンが残っており、他にも負債がある状況でした。
ご依頼者様自身は、今後もご自宅に住み続け、住宅ローンなどの負債も支払っていくご意向でした。しかし、ご自身の子供たちにまで、この負債を負わせることは避けたいと考えておられました。
ただ、子供たちが相続放棄をすると、法律の規定により、次に相続権が亡きご主人のご兄弟、そしてそのお子様(甥・姪)へと移ってしまいます。ご依頼者様は、「親族に迷惑をかけたくないし、資産が分散することも避けたい」と、非常に難しい状況でお悩みでした。
弁護士の対応
まず、相続財産を調査し負債の内容を確認したあと、ご依頼者様のご意向通り、お子様方の相続放棄手続きを家庭裁判所で速やかに行いました。
次に、相続権が移ったご主人のご兄弟・甥姪の皆様に対し、弁護士からご連絡を差し上げました。お手紙やお電話で、①ご依頼者様のご主人に負債があったこと、②お子様方が相続放棄をしたため、皆様に相続権が移ったこと、③しかし、ご依頼者様がすべての負債を引き受ける意向であり、皆様にご迷惑をおかけするつもりはないこと、を丁寧に説明しました。
皆様にご事情をご理解いただいた上で、皆様の相続放棄手続きについても、当事務所が全面的にサポートいたしました。
結果
弁護士が間に入って相続関係の全体像とご依頼者様のご意向を丁寧にご説明したことで、相続権が移ったご親族の皆様も快く相続放棄に応じてくださいました。
結果として、お子様方や他のご親族に負債が引き継がれることを完全に防ぎ、ご依頼者様が望んだ通り、ご自身のもとですべての遺産と負債を管理するという形を実現することができました。
弁護士からのワンポイントアドバイス
相続放棄をすると、その人は初めから相続人でなかったことになり、相続権は次の順位の親族へと移っていきます。ご自身が借金を免れるためだけに相続放棄をすると、意図せず他のご親族に迷惑をかけてしまう可能性があります。
相続放棄を検討する際は、相続人関係の全体像を正確に把握し、次順位の相続人への影響まで考慮することが非常に重要です。弁護士にご相談いただければ、このような複雑な状況でも、関係者全員にとって円満な解決となるようサポートいたします。
